
私たちの身の回りにあるスマートフォンやパソコン、家電製品、自動車など、あらゆる電子機器の中に欠かせないのが「半導体」です。その半導体を支える基盤となるのが「ウエハー」と呼ばれる素材です。
ただ、聞き慣れない言葉であるため「ウエハーとは何?」「どのような役割があるの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「ウエハーとは何か?」をテーマに役割・用途や、種類別の特徴、製造工程などを解説します。
ウエハーとは?
半導体を製造する際の基板となる円盤状の素材です。主に高純度のシリコンから作られ、表面には微細な電子回路が形成されます。そのウエハーを基に、スマートフォンやパソコンなどに使われるICチップやプロセッサなどが生産されていきます。
サイズは150mm(6インチ)、200mm(8インチ)、300mm(12インチ)が一般的で、より多くのチップを1枚で生産できる大口径ウエハーが主流です。
主な用途
・スマートフォンやパソコン
・家電製品
・自動車
・産業用機器・ロボット
・医療機器・通信インフラ
スマートフォンやパソコン、家電製品などのICチップ、自動車のパワー半導体やセンサー、産業用機器の制御装置、医療機器や通信インフラの高速処理チップなど、現代社会を支えるあらゆる電子機器の中核部品に使用されています。
ウエハーの種類と特徴

様々な素材のウエハーがあり、それぞれに特徴があります。
ここでは、代表的な4種類のウエハーのそれぞれの特徴と活用分野をご紹介します。
シリコンウェハー
最も広く使われているウエハーで、コストが安く加工しやすいのが特徴です。スマートフォンやパソコン、家電製品などに使われるICチップ、センサー、メモリなどのほとんどがシリコンウエハーを基盤に製造されています。大量生産と安定供給が可能な汎用素材として、世界中の半導体製造で利用されています。
SiC(シリコンカーバイド)ウェハー
高温・高電圧でも安定動作するパワー半導体向け素材として注目されているのがSiCウェハーです。電気自動車(EV)、電力変換装置、鉄道など、エネルギー効率が求められる分野で需要が拡大しています。
サファイアウェハー
サファイアウェハーは、LEDチップや光学センサーなどに使用されます。硬く傷つきにくいため、スマートフォンのカメラレンズや指紋認証センサーの基材にも用いられています。光を透過しつつ電気を通さない特性が、光電子デバイスに最適です。
化合物半導体ウェハー
主に高周波・高出力・光通信分野で用いられているウェハーで、代表的な素材には、LEDやセンサーに用いられるGaP(リン化ガリウム)、高周波デバイスに使われるGaAs(ヒ化ガリウム)やInP(リン化インジウム)、パワー半導体や次世代通信機器に注目されるGaN(窒化ガリウム)などがあります。高感度・高速処理・高耐圧といった特性があり需要が高まっています。
ウエハーの製造工程

ここでは、シリコンウエハーを例に、基本的な製造の流れを紹介します。
①インゴットの作成
高純度のシリコンを溶かし、種結晶を用いて単結晶インゴットを引き上げます。それにより、棒状のシリコン結晶ができます。
②インゴットのスライス
作成したシリコンインゴットを、厚さ0.5mm〜1mmほどにスライスしてウエハー状にします。スライスにはダイヤモンドワイヤソーなどが使われます。
③研磨・ラッピング
スライスしたウエハーの表面は粗く不均一なため、磨く必要があります。ラッピングやポリッシングにより、鏡面のような滑らかな仕上がりに整えます。さらに表面を微細に加工したり、酸化膜を形成する処理が施される場合もあります。
④洗浄・検査
微細なゴミや金属汚染を取り除くため、超純水や薬品を使って徹底的に洗浄します。その後、厚み、平坦さ、表面の欠陥などが検査されます。
ウエハー関連製品

弊社、株式会社三ツ矢では、半導体製造工程で必要とされるウエハーの関連製品を多数取り扱っております。
ウエハーの固定に用いる「ウエハーリング(ダイシングフレーム)」をはじめ、収納用の「ウエハーキャリア(ウエハーマガジン)」「ウエハーリングマガジン」、リングの運搬用の「ウエハーシッパー」、安定して保持・搬送・処理するための石英製の「ウエハーボード・ガイド」などがあります。
各製品はサイズや材質のカスタマイズにも対応しており、ご要望に応じた最適な提案が可能です。品質と信頼性にこだわる製造現場の皆さまに、安心してご利用いただける製品をお届けしております。
ご興味がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。専門スタッフが丁寧にご案内いたします。
ウエハーについて
ウエハーとは、半導体チップを製造するための基板であり、スマートフォンや自動車、家電など現代の電子機器に欠かせない存在です。シリコンを中心に、用途に応じてSiCやGaN、GaAsなどの化合物半導体も活用されています。
近年では、自動車の電動化や5G通信の進展により、パワー半導体や高周波デバイス向けウエハーの需要も拡大しています。ウエハーの多様化も進んでおり、今後も技術の進化が期待されています。